初めてわかった家康時代の江戸城!今年2月に発表されて、読売新聞で1面を飾るなど大きなニュースとなった「江戸始図(はじめず)」が、7月15日から徳川美術館で開催される「天下人の城」展で、所蔵する松江歴史館のある島根県松江市以外では初めて展示されます。
どうして、初めての外部展示が名古屋で行われるのでしょう?
江戸始図を発見したのは、報道でご存じのとおり、当応援団会員ナンバー1の千田嘉博奈良大教授です。
千田先生が、くしくも応援団キックオフミーティングのあった5月25日(奥付の発行日は6月9日)に刊行した著書『江戸始図でわかった「江戸城」の真実』(宝島社新書)で、その秘密が明らかにされています。
千田嘉博ほか『江戸始図でわかった「江戸城」の真実』
18ページから江戸始図が発見するまでのいきさつが書かれています。(以下、千田先生の会話は本書よりの引用です)
千田先生
「江戸始図」を収める『極秘諸国城図』(74枚)は、出雲松江藩主だった松平家が城主の軍学勉強のために編纂を命じた城絵図集だったと、私は考えています。 松江市がこの『極秘諸国城図』を入手したのは1953年で、松江市民が市に寄贈したとのことです。 そこに松江城の絵図が含まれていなかったことから、これまで松江市では研究の対象とはされていませんでした。 松江藩は自分の城は熟知していましたから、軍学勉強用の絵図集に松江城を入れなかったのは当然でした。
おいでよ天下人の城展
だから松江城がないのですね! ちなみになぜか愛知県の三河地方のお城がかなりの数を占めているらしいですネ。
千田先生
2016年に、松江松平家初代藩主の松平直政の企画展の準備を進めていた同館は、収蔵品の研究の中で『極秘諸国城図』が収めた「大坂 真田丸」に着目し、NHK大河ドラマ「真田丸」で真田丸城郭考証を務めていた千田に評価の協力依頼がありました。 そしてその真田丸の図が、実は真田丸を描いた最古級の絵図であることがわかり、なおかつそれが詳細なものであったことから、大坂城の出丸である真田丸の往事の姿を高い精度で再現でき、それをもとに大河ドラマ「真田丸」の真田丸オープンセットやCGを復元しました。
おいでよ天下人の城展
このニュースも記憶にある方も多いのではないでしょうか。 大坂城の一部の丸馬出しではなく、独立した城として描かれた大河ドラマの真田丸の復元された姿は新鮮でしたね。 この真田丸の絵図も「天下人の城展」で展示されます。 この絵図をもとに、千田先生と歴史復元画家の富永商太さんが復元した真田丸がこちらです
大坂城真田丸復元イラスト(富永商太・絵、千田嘉博監修)
おいでよ天下人の城展
さて、この江戸始図ですが、最初は江戸時代の初期のものとはいえ、いったいいつなのかと絞り込めていなかったようです。
千田先生
この「江戸始図」は、たくさんの大名屋敷の人名を記しているので、大名の組み合わせから絵図に景観年代を絞り込めます。 そこで、近世大名に詳しい徳川美術館の原史彦先生に検証をお願いしました。 その結果、慶長12~14年(1607~1609)の江戸城を描いたものだとわかりました。
徳川美術館の原史彦先生
徳川美術館の原史彦先生
徳川美術館の原史彦先生
徳川美術館の原史彦先生
おいでよ天下人の城展
なるほど、江戸始図の歴史的な価値がわかるプロセスで、「天下人の城」展を担当する原さんが携わっていたようですね。 「江戸始図」が見られるのは、7月15日から8月10日までです。 さらに「大坂 真田丸」も展示されますよ。
このエントリーでは、肝心の江戸始図の意味については全く触れていませんが、そこはぜひ本書をお手にとってご覧ください。
会期までには、当応援団ブログで、来館者の方にも「江戸始図」の時代背景や意味がわかる解説をできるように、この新書で勉強していきます。
千田 嘉博,森岡 知範 宝島社 2017-05-26
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